個人確定申告→確定申告の義務・任意について
1.所得の種類
【利子】・【配当】・【不動産】・【事業】・【給与】・【譲渡】・【一時】・【雑】・【山林】・【退職】
に区分する。
ここでは難易度を考慮して、あえて、
【(利子)】・【給与】・【退職】・【一時】・【配当】・【雑】・【不動産】・ 【事業】・【(山林)】・【譲渡】
と区分する。
なお、利子所得は海外のもの等特殊なもの以外については、申告の必要はない。また、山林所得(山林の伐採又は譲渡による所得)は実務でも滅多にお目にかかれないため、これも割愛する。
2.所得税の計算の段階
所得税(個人)の計算体系は、法人税(会社)の計算と比較して複雑となってる。 個別項目は法人税の方が複雑ではあっても、 法人は、基本的に【収益−費用=利益】で、この利益に一定の調整を加えた「所得」に対して税金計算するという形である。
しかし、個人の場合はそう簡単ではない。 その理由として、様々な個別事情を税法が考慮しているからである。
継続的な勤労所得等は多く税金を課するが、 例えば、退職金や年金等は給料と同じようには税金を課さないということ等がその理由として考えられる。
計算の段階として、
(1)各儲けの種類ごとの計算
(2)儲けの合算計算
(3)諸控除の計算
(4)税金計算の課税対象金額の計算
(5)税額の計算
という5段階となっている。
(1)各儲けの種類ごとの計算
上記1.に挙げた儲けの種類ごとにそれぞれ金額を算出する。個人の計算においては、最も重要なステップ。
(2)儲けの合算計算
儲けの種類ごとの金額を合算計算する。 ここでは、似たもの同士の所得はひとつにされる。
また、損を他の儲けと相殺するのもこのステップ。
(3)諸控除の計算
その後、儲けから、様々な特殊事情を踏まえた控除を行う。例としては、保険料の控除や医療費の控除などがこれにあたる。
(4)税金計算の課税対象金額の計算
諸控除を差し引いた金額に一定の調整等が行われ、税金計算の対象金額を算定する。
(5)税額の計算
最後に税金計算を行う。 ローン控除等の税額控除はこのステップで控除する。
3.所得計算
(1)給与所得
給料・賃金・俸給等。 これは、源泉徴収票に基づき申告書に記載するだけなため、最も簡単である。複数の勤務先から給与がある人は、それらを合算して申告することとなりる。
他に稼ぎがなく1ヶ所給与の人で2,000万円以下の人は、原則として申告は必要ない。但し、医療費控除等を適用するため申告することもある。
必要書類・・・源泉徴収票
(2)退職所得
勤務先からの退職金。 これも源泉徴収票に基づき、申告書に記載するだけのため簡単。 なお、退職所得についても、基本的に源泉徴収で納税が終了するため申告の必要はない。
但し、他の所得との兼ね合い(他の所得で損がでており、退職所得から控除する場合や他の所得で保険料控除等を引ききれないため、退職所得から控除する場合等)で申告することが有利なこともある。
分離課税のため、原則として給与等とは税金計算を別に行い、最後に税額を合算する。
必要書類・・・源泉徴収票
(3)一時所得
一時所得とは、他の所得に該当しないもので一時に受ける所得のうち、 労務の提供や資産の譲渡対価等に該当しないもののこと。 一時所得で代表的なものは満期保険金。
その他にも借家人が受ける立退き料等該当するものもある。
一時所得は単発の儲けで継続性がないことが考慮され、50万円の控除枠がある。さらに50万円控除後の1/2に対して課税される。
なお、100万円を超える保険金については保険会社等から税務署に書類が送られている。
必要書類・・・保険金及び払込保険料の通知書 (注)他に一時所得に該当するものがあれば他にも必要。
(4)配当所得
配当所得とは、株式等の配当を言う。 現在では配当は申告が不要な場合が多いが、申告が必要な場合がある。また、その人の税率によってはあえて申告したほうが有利な場合もある。
事務手続きの簡略化を図るのであれば、上場株式等(5%未満所有の通常株主)は原則として申告が不要のため申告しないことが考えられる。
なお、他の収入状況等により、配当の申告を行い配当控除(税額控除)の適用を受けた方が得な場合もある。
但し、非公開株式に関しては配当金が少額の場合に、所得税の申告が不要でも住民税の申告は必要となるため注意が必要。(つまり、非公開株式については少額でも申告が必要。)
必要書類・・・配当金の支払調書や配当金の計算書等
(5)雑所得
雑所得とは他の全ての所得に該当しないものを言い年金や原稿料等がこれにあたる。年金については、書類により明らかになるため比較的容易。
注意すべきは、郵便局の定期年金などを多く加入されている方は、 契約ごとに何度も書類が郵送されてくる関係で申告を洩らしてしまうことがままある。
原稿料等については少し煩雑となる。 また、事業とはいえない副業なども原稿料等と同様の取扱いとなる。
必要書類・・・年金の源泉徴収票、保険会社の年金の計算書、 原稿料等の支払調書や売上集計表と領収書等や経費集計表、その他
(6)不動産所得
不動産所得とは、不動産の貸付による所得である。
発生する収入としては、賃料、礼金、更新料、その他の収入(自販機収入等)といったもの。なお、敷金は収入にはならないが、把握しておく必要がある。
発生する費用としては、固定資産税、管理費、業務委託費、損害保険料、修繕費、水道光熱費、減価償却費、支払利息等。
管理会社を通していれば、その管理会社が作成する書類で、収入や業務委託費や修繕費等を把握できる。
●管理費等は、管理会社との管理契約書や区分所有マンションであれば、 管理規約等もチェックする。
●固定資産税・・・固定資産税の納付書を使用する。
●損害保険料・・・保険証券や控除証明書を使用する。
●修繕費・・・請求書・領収書・見積書等から把握する。
●支払利息・・・借入金返済予定表や保証料の計算書等から把握する。
●減価償却費は、固定資産台帳により計算。
ただ、固定資産取得初年度は固定資産の分解作業が必要になるので煩雑となる。
また、上記書類があるにせよ、不動産事業専用の通帳を作成して入出金はその通帳を通すような形が宜しいかと思われる。
それから、物件が多い場合には、管理上の観点からも一覧表を作り、収入関係、経費関係の年間の記録を残しておくと良いかと思われる。
必要書類・・・規模による。上記を参照
(7)事業所得
事業所得とは、小売業、サービス業その他の事業から発生する所得のこと。計算方法は、その業種により異なる。
日常つけている帳簿を元に決算処理を行うこととなる。法人の利益計算と最も良く類似している。なお、事業所得でも、固定資産税や借入金利息の計算等は、上記(6)の不動産所得と同様。
必要書類・・・業種や取引内容等による
また、事業所や店舗が自宅と併用の場合には、経費の内容に応じて、床面積比や使用比率等合理的な比率で、事業用部分と家事用部分を計算する(経費按分)。
規模が大きくなってくると、法人のほうが税務上、信用取引関係、資金調達上等有利になることが考えられる。 規模が大きくなってきましたら専門家に相談されるのが良いかと思われる。
なお、医業・歯科医業に関しては特例計算がある。
■確定申告のお役立ちツール
「代表的な個人事業用の勘定科目(損益)」 (PDFファイル)
多桁出納帳(その1)(Excelファイル)
多桁出納帳(その2) (Excelファイル)
月別集計表(PDFファイル)
決算集計表 (PDFファイル)
(8)譲渡所得
譲渡所得とは、原則として資産の譲渡による所得を言う。
その所有期間により短期と長期で分けることなり、また、不動産、株式、ゴルフ会員権等の種類別で税金計算が異なる。
なかでも重要なのは不動産の譲渡で、多くの特例がある。 これは、専門家に相談するのが確実。
必要書類・・・・譲渡した資産やその経緯等による
4.その後の流れ
上記3.で計算した儲けをまず合算し、損と益の相殺等を行う。その後、医療費控除等の控除を行い、差し引き金額を算定して税金計算を行う。
なお諸控除については、申告書の第1、2面を見て、どのような控除を受けられるかを考える。 この控除は、あくまで受けられる人は受けた方が得だという話。
従って、例えば損害保険料の控除証明書が見当たらないとか、 医療費はあまり多くなく、医療費の集計をするのが面倒だという場合は控除を受けないことも可能。
5.申告書の用紙
もちろん、不動産所得、事業所得、雑所得(原稿料等)が発生する人は、他にも、決算書・収支内訳書等を作成する必要があり、また、他にも添付書類を作成する必要がある。
(1) 基本的に、不動産所得、事業所得、雑所得(原稿料等)が発生する人は まず、決算書・収支内訳書を作成する。 同時に消費税申告が必要な方は、消費税の申告書も作成する。
(2)つぎに各種添付書類を作成する
具体的には、 譲渡所得であれば譲渡所得の明細書、医療費控除であれば医療費控除の明細書、その他の所得があれば所得の内訳書等も作成する。
(3)その後申告書の作成に入る
パソコンがあれば、国税庁の「申告書作成コーナー」を利用したり、 市販の申告書作成ソフトも安価に使用できる。 また、電子申告を利用することも考えられる。
最後に、納付書を記載して税金を納付又は振替納税を利用して自動引き落としとする。
(振替納税の場合は、税金の引き落としは4月中旬頃。)
なお、税金が還付となった人は、申告書に還付口座を記載し、後日税務署から税金の還付がある。

